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キベラからの手紙

本日、ショートムービー第三弾を公開しました。
初回はプロジェクトの幕開け、第二弾はカメラ寄付の報告、そして今回は現地でできることを話し合う内容になっています。
話している内容は、今まで僕らが実際に話し合ってきたことを要約したものです。

告知動画でも触れていますが、小道具の手紙は実際僕の元に届いた本物の手紙です。
お願いして誰かに書いてもらったものではありません。
差出人は、ナイロビのキベラスラムに住むネスコという青年で、僕のマイメンでもあります。

彼との出会いは、ケニアでのSHIFT80の初回撮影時。
まだブランドが立ち上がる前ということで、僕自身も漠然とした状態で撮影に挑みました。
そして、モデルとして来た10人の男女も、同じくどうしていいかわからない状況。
案の定、撮影はあまり上手くいっていませんでした。
というのも、彼らと僕らには明確な壁があり、なかなか打ち解けられませんでした。
意気消沈している僕に「俺を撮ってくれ!」と笑顔で踊ってアピールしてきたのが、ネスコでした。
彼は僕がみんなの輪に打ち解けるように場を盛り上げ、自然に誘導してくれていました。
これがきっかけで、僕はみんなと仲良くなることができ、それ以降の撮影は大成功に終わることができました。

2回目に撮影に行った際には、ネスコはモデルのリーダーとなっており、初めて参加した不安そうな後輩を引っ張って行っていました。
たった一回だけの撮影で、こんなにも自信と立ち振る舞いが変わるものなのか、と僕も本当に驚きました。

3回目の撮影には、僕は行けなかったため、ネスコへのお土産をマサチーに託しました。
そして、現地から届いた写真を見て、僕は驚きました。
その画像はネスコと仲間が僕があげたTシャツを着てニッコリしている画像。
僕は、ネスコ一人を贔屓するつもりでしたが、彼にはその考えはなかったようでした。
また、お土産の中にあったスニーカーは自分の足のサイズには合わないから友人にあげていい?と相談もありました。
彼自身は周りとシェアする考えを常に持っているのに、僕はみんな友達のはずなのに一人を贔屓しようとした卑しい人。
彼の行動が嬉しい反面、自分の未熟さが露呈したと、とても反省しました。

その数ヶ月後、ネスコから「いらないカメラはありませんか?」と丁寧なメッセージが届きました。
元々、必要な機材しか持っていないタイプのため、その時はその旨返信しました。
でも、心のどこかでモヤモヤしていました。
彼がカメラに興味を持っているなら、どうにか叶えてあげたい。
それはもちろん、彼にだけ贔屓するのではなく、みんなでシェアできるカメラを、と。

僕はそれがきっかけで、プロジェクト化することにしました。
だから、このプロジェクトを始める時には、誰よりも先にメールをしました。
彼からは「いつ来るの?」と何度もメッセージが届きました。

そんな折、ケニアに行ったSHIFT80の坂田さん経由で、この手紙が僕の元へ届きました。
本当は去年のクリスマスに届いていたようですが、郵便受けを数ヶ月に1回しか開けない僕が手紙を開いたのは、その数ヶ月後でした。
お礼を返すには遅すぎますし、このプロジェクトを現地で唯一気にかけてくれている人でもある。
そんなことから、僕はこの動画でアンサーすることにしました。
動画内では、内容に触れてはいませんが、渡航の日程が決まり、僕らのやる気をブーストできるのは、現地からの期待の他ありません。

ここまで長々補足しないと伝わらない僕らの芝居スキルもアレなもんですが、これで少しは深みが増すんじゃないかと綴らせて頂きました。

彼との再会まで残り25日。
今度は現地で新しい物語が撮影できることを願っています。

池谷 常平

1981年東京都八王子生まれ。キベラクション発起人の内のひとり。元雑誌のライターであり、元クラブイベント主催など、意外と色々なことを経験して、今は映像制作にどっぷり。いつも同じボーダーTシャツを着ていることをよく揶揄されるが、本人は至って真面目。趣味は旅行とゲーム。好きなお酒はレモンサワーとマリブコーク。

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