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このプロジェクトは居酒屋の雑談から始まりました。
僕らはケニアでの撮影を共にした仲で、お酒が進むと決まってケニアの思い出話に花を咲かせていました。
同じ時間、同じ場所で同じ経験をしたからこそ、感じていたこともまた同じ。
酔いが回る頃には、「こんなことできたらいいね」と、夢語りをつまみに朝まで飲み明かしました。

当初は、撮影に行ったついでに、カメラを置いてくるような、内輪のサプライズくらいにしか考えていませんでした。
これでも良かったのですが、カメラは簡単には使いこなすことはできず、良い写真や映像が撮れなければ、やがてモチベーションは下がり、同じように押し入れに眠る運命が待っています。

カメラを有意義に使ってもらうためにも、基本的な知識と創作活動のヒント、そして、何よりカメラの楽しさを伝えることこそが、僕らの役目だと考えました。
そうすることで、彼らの好奇心をブーストできると思っています。

もちろん、プロのカメラマンを志してくれれば嬉しいですが、それだけが人生ではありません。
写真を撮ってあげた人と結婚することになったり、食事の写真を撮っていたはずが料理人に目覚めたり、何がきっかけで人生が変わるかはわかりません。

僕らも小さな希望を持って、カメラを始めたひとりです。
それゆえに、初めて自分のカメラを手にした時は、何にも変え難い喜びがあり、これからこのカメラと共にする未来にワクワクしたものです。

だからこそ、彼らにもあのワクワクを感じてもらいたいのです。
それがどんな夢に変わるのかは、その人次第。
カメラの楽しさを通じて、新しい未来を切り開いて欲しいと思っています。
いつの日か、今度は彼らの夢語りで、僕らをワクワクさせてくれる日が来ることを楽しみにしています。

2024年12月吉日
池谷 常平　政近 遼